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研究内容

特発性脳内石灰化症(ファール病を含む)

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診断ガイドライン


1. 概要

 大脳基底核や小脳歯状核等に、原因不明の石灰化をきた

す病態が慣例的にファール病と呼称されてきた。国際的に

も、これまで、その病態を示す40近い病名が使われてきた。

近年、国際的に、

 1)両側大脳基底核石灰化

 2)進行性の神経症状

 3)生化学的異常を認めない

 4)感染、中毒ないし外傷の原因がない

 5)家族歴

と言った診断基準から、家族性特発性大脳基底核石灰化症(familial idiopathic basal ganglia calcification:FIBGC)の名称が一般化してきた。2012年2月、Nature Geneticsに、中国からFIBGCにおいてリン酸輸送体(type-Ⅲ sodium-dependent phosphate transporter 2:PiT-2)の遺伝子SLC20A2に変異を認めたことが報告された。この論文は大きな転機となった。国際的にも、また我々研究班による検索でも、家族例の約50%にこの遺伝子の変異が認められた。また研究班で収集した孤発性の症例でも、約5%にこの遺伝子の変異が認められた。このことは、病態の中核において、リン酸輸送体PiT-2が関与し、リン酸輸送能や細胞内情報伝達系に何らかの異常をきたしていることを示唆している。今後、PiT-2の機能解析や他の遺伝子異常の解析が望まれる。

 一方、初老期認知症の中で、FIBGC同様の石灰化とともに、病理学的に大脳皮質にびまん性に多数の神経原線維変化を認める疾患を、“石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病”(diffuse neurofibrillary tangles with calcification:DNTC)と小阪憲司博士が命名、報告したが、国際的に小阪・柴山病という名称も使われている。この疾患との関連性を検討することも課題であり、遺伝子、分子レベルでの病態の解明、分類が望まれる。


2. 疫学

 研究班ではこれまで(平成26年1月まで)200症例近くを登録した。しかし、我々が新潟と岐阜で施行した大学病院1年間における頭部CT全例調査で、大脳基底核に斑状の石灰化を来す例は1~2%あり、また、ほとんど無症状の患者も多いことから、その実数として数倍はあると推測している。


3. 原因

 家族例のFIBGCの約50%の症例で、リン酸輸送体 PiT-2の遺伝子SLC20A2に変異が認められた(IBGC3と命名されている)。他の遺伝子異常も報告されているが、症例数も少なく、機能解析もなされておらず、原因遺伝子としての確定には今後のさらなる解析が必要である。孤発例の大部分は未だ原因不明である。


4. 症状

 パーキンソン症状など錐体外路症状、小脳症状、精神症状、認知症状など様々である。多くは10~40代にかけて、見つかることが多く、また頭部外傷後に施行した頭部CT所見から偶発的に見つかることもある。進行は多くは緩徐と考えられるが、多種多様で、未だ明らかではない。初老期認知症の中に前述の小阪−柴山病が存在する。


5. 合併症

 発作性運動誘発性舞踏アテトーゼ(PKC)を合併する症例が数例報告されている。


6. 治療法

 未だ有効な治療薬、進行予防薬は開発されていない。


7. 研究班

 2010年7月から、希少難病研究班として、全国の症例の登録、検体の収集を進めている。


8. 診断基準

 診断基準は下記の4項目による。


1.頭部CT上、両側基底核に明らかに病的な石灰化を認める。

  1.  加齢に伴う生理的石灰化と思われるものを除く(高齢者における淡蒼球の点状の石灰化など)。小脳歯状核などの石灰化の有無は問わない。


2.なんらかの進行性の神経症状を呈する。

  1.  具体的には、頭痛、精神症状(脱抑制症状、アルコール依存症等)、てんかん、精神発達遅延、認知症、パーキンソニズム、不随意運動(PKC等)、小脳症状等がある。


3.下記に示すような脳内石灰化をきたす疾患が除外できる。

  1.  主なものとして、副甲状腺疾患(血清Ca、P、iPTHが異常値)、偽性副甲状腺機能低下症(血清Ca低値)、偽性偽性副甲状腺機能低下症(Albright骨異栄養症)、Cockayne(コケイン)症候群、ミトコンドリア脳筋症、Aicardi-Goutières(アイカルディ・ゴーティエ)症候群、Down症候群、膠原病、血管炎、感染(HIV脳症等、EBウイルス感染症等)、中毒・外傷・放射線治療などを除外する。

  2.  さらに文献上、稀なものとして、炭酸脱水酵素II欠損症、Hallervorden-Spats病、oculodentodigital dysplasia(ODCC)、lipoid proteinosis、Nasu-Hakola病、Moebius症候群、Alexander病などの報告がある。


4.家族歴のあるなしは問わない。

  1.  家族歴を有する症例、家族歴がなくともSLC20A2、PDGFB等の原因遺伝子異常が判明した症例はFIBGCに分類する。