Research

光を利用する酸化反応

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 酸化反応は、化学の基本反応であるとともに、これを足がかりとした官能基変換と密接な関係にある非常に重要な反応である。そのため、有機合成において、最もよく用いられる反応である酸化反応での効率化は産業界に寄与する焦眉の課題となっています。地球を覆う大気のおよそ20%は酸素であり、この酸素を末端酸化剤として利用することができれば、極めてクリーンかつエコノミカルな酸化反応になります。ですが大気中の酸素の酸化能力は低く、遷移金属触媒や光増感剤を利用することでその酸化能を向上させる試みが活発に行われています。

 当研究室では、“光”と“酸素”を用いた“ヒトと環境に優しい”創薬プロセスの開発および実用化を目指した研究を行っています。これまでに当研究室で開発した酸化反応を以下に示します。

触媒量の臭素源を利用する酸化反応

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 酸素雰囲気下触媒量の臭素源を用いることで、紫外光・可視光いずれの照射条件においてもアルコール類や一般に困難とされている芳香環上メチル基を対応するカルボン酸やエステルへ酸化することに成功しています。また、不飽和炭化水素を用いた反応では、酸化的開裂が進行し対応するカルボン酸が生成します。

触媒量のヨウ素源を利用する酸化反応

 触媒量のヨウ素源を利用し酸素を末端酸化剤と用いることで、紫外光照射下、1,3-ジカルボニル化合物からタルトロン酸類や1,2-ジケトンへの酸化的タンデム反応が進行することを明らかにしました。また紫外光照射条件、触媒量のヨウ素存在下、炭素求核剤と3級アミンとの反応により酸化的な炭素-炭素結合形成反応が進行することを報告しています。

アントラキノンを利用する酸化反応

 さらにアントラキノン触媒を用いることで我々の身の回りにあふれる空気を用いた酸化反応の開発にも成功しています。さらに官能基化されたアントラキノンを利用することで触媒的な過酸化水素の発生法を明らかにし、これを利用する分子変換反応も報告しています。

 我々の明らかにした変換反応は従来の重金属を用いた反応や、爆発性の試薬を用いることなく触媒的に酸化剤を調整することができるため、ヒトと環境に優しい触媒的酸化法であります。